どこでもドア
Posted on 2011年12月20日(火) 23:55
夢の道具に文句つけても仕方ないのだけれど、「どこでもドアがあったらなぁ」と想像して楽しむときに、どうしても「こういう場合どうなるんだ?」と疑問になってしまう。
一番最初に気づく問題は「気圧差」。
ドアを開けた先の世界とは気圧差があり、ドアを開けた瞬間突風で吹き飛ばされるのでは? というもの。
ドアには見えないバリアみたいなのがあって、気圧差は保ったまま人間だけが通過できる、と解決案を示せないことはないが、それはそれで、あらゆる物理量の微分値が無限大になるような境界面が存在するのか、それとも緩やかに変化させる緩衝帯があるのか、いろいろと新たな疑問点がわいてくる。未来の科学でうまいこと調整しているのだろうか。
もう少し想像してみると、「位置エネルギー」が心配になってくる。
質量・エネルギー量保存の法則はおそらく宇宙の大原則で覆らない。
高い位置と低い位置をどこでもドアで繋いだら永久機関が出来てしまう。
この問題はエネルギーの増減をどこでもドア側で吸収するような仕組みがあると考えるのが妥当だろう。
どんなエネルギー源で動作しているのか不明だが、低い位置から高い位置にどこでもドアを通じて物質が移動したとき、どこでもドアは何かしらのエネルギー(電気とか)を多く消費する。
位置エネルギーが問題になるならば、重力や電界や磁界のエネルギー差も当然あるわけだが、これも同様にどこでもドアが調整する。
このような事からドアがエネルギーを消費することがわかる。
どこでもドアを通過している途中にエネルギー切れ(電池切れ)等が発生した場合、どのような安全対策が施されているのかについても興味が尽きない。
もう一つ心配なのが、地上で使う限り、どこでもドア自体が常に移動していることである。
相対性理論によると、絶対的静止系は存在しない。よってどこでもドアが移動しているかどうかは特に関係ないのだが、ドアを開けた先と現在地に相対速度差がある場合は話が別である。さらに、地上に置かれた物は、重力と遠心力、地表からの反力が釣り合った状態で円運動をしている。つねに複雑な相対速度差がどこでもドアのこちら側とあちら側には存在する。
相対速度差があるということは時間の流れに差があるということだ。
例えば、ドアのあちら側とこちら側で原子の振動数が見かけ上、変わる。
人間などが通過するとき、その体を構成する原子が、原子や分子としての構造を保ったままどうやって通過しているのか気になるところである。
ここもSF的発想が必要だ。例えば質量を無効にする装置が搭載されているとか、別次元の平面宇宙のようなものを通過するだとか。
いろいろ考えてみたが、おそらく他にもある。
どこでもドアを実現するには、工学的問題の前に机上で解決しなければならないパラドックスが多数存在する。